お金に困ると頭が悪くなる?
コロナウイルスも徐々に感染者が減って日常を取り戻しつつある昨今(日本では)ですね。
休業していたお店や施設も少しづつ再開し、経済が再び回りつつありますが、残念ながら今後シャレにならない不景気がやってくると思います。
恐らく今までより多くの人が、経済的不安、お金に関するストレスを強く感じるようになると思うのですが、それがどれだけ強烈な悪影響を与えるか、勝手にご紹介します。
1.お金が無い人ほど早く老ける
ブランダイス大学の研究で、200人の男女を対象にどんなストレスをどのぐらい感じているかを聞きながら1995年〜2005年の10年間の老け具合を調べた(※1)
結果は
・お金の悩みを抱えている人ほど見た目の老けが早かった
・様々なストレスの中でもお金のストレスは群を抜いて強烈かもしれない。
まあお金が無い人は栄養状態も悪くなるし身だしなみに気を使えなくなるという要素も含まれると思いますが。
2.お金に困ると痛みを感じやすい
アメリカの貧困家庭はそれ以外の家庭に比べ、鎮痛剤の消費量が20%も多いんですが、バージニア大学の実験で学生をランダムに2グループに分けそれぞれに
①君は成績が優秀だから問題なく就職できるよ
②今は不景気だから大卒でも就職するのは難しい
と説明し、その後氷水に手を浸け、限界まで耐える。というなかなかエクストリームな実験(※2)
結果は就職するのが難しいと言われた学生は耐えられる時間が25%短かった
お金に対する不安は痛みの耐性を下げてしまうかも?と言われてます。
3.お金の不安は知能を下げる
ハーバード大学の経済学教授センディル・ムッライナタンとプリンストン大学の心理学教授エルダー・シャフィールが行った実験で
いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学 (早川書房)
- 作者:センディル ムッライナタン,エルダー シャフィール
- 発売日: 2015/07/31
- メディア: Kindle版
ニュージャージー州のショッピングモールにいた人々に次の出来事を想像してもらった後にIQテストを受けてもらった(※3)
①自家用車の修理に300ドル必要
②自家用車の修理に3000ドル必要
すると修理費300ドルの場合は人々の年収とIQに関係性は無かったが、修理費3000ドルの場合は年収200万円台グループは年収700万以上グループに比べIQテストの結果が40%低かった。
結果としてはお金に困ることを想像するだけで頭が悪くなったって事なんですが、
これって年収の高い人のほうが頭が良さそうだからその差が出たんじゃね?
と思ってしまいますがもう一つ、インドの農家を対象とした実験で、収穫前のお金に余裕がない時と収穫後のお金に余裕がある時の2回でIQテストを実施。
これなら貧困層と富裕層を比べるのでなく、同じ人でお金に困ってる時・余裕がある時のを比べているのでより信頼できる結果が出るんじゃないかと。結果は
収穫後のほうがテストの結果が25%高かった。
やっぱりお金に困ると脳の機能はガンガン落ちるっぽいのですが、なんでそんな事が起きるのか?
4.お金に困ると視野が狭くなる「トンネリング」とは?
最初に言ったようにお金に対するストレスはかなり強烈で、脳のリソースの多くを消費します。そのため、お金の不安を感じている時は目先の欠乏に意識がいきすぎて判断力や認知機能が大きく低下してしまいます。
この事を「トンネリング」といいます。
まあ、お金に困っている人ほどギャンブルや宝くじで1発逆転を狙ったり、無茶苦茶な投資話や詐欺に引っかかって大損こくよねって話です。
今後、ムチャクチャな詐欺や投資にカモられる人が増えそうな気配がありますが、自分がそうならないよう気をつけたいものです。
(※1) https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0164027516658502
(※2) https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797615625640